羽ばたけ!秋保ワイナリー
<基本情報>
- 受入先:株式会社仙台秋保醸造所(秋保ワイナリー)
- 所在地:宮城県仙台市
- 事業:ワインの製造・販売
- プロジェクトメンバー
- 受入企業2名(代表取締役、取締役)+随時スタッフ
- プロボノ25名(県内6名・県外19名、女性14名・男性11名)
- 協働コーディネーター(コラウェイク)1名
- 実施形態:オンライン(Zoom)がメイン+一部現地
- 期間:2021年8月~2022年3月
<プロジェクトについて>
- 課題
コロナ禍等、環境変化に負けない経営革新・運営基盤づくり - プロジェクトの目的
宮城・東北活性のハブ(地域のためのワイナリー)を目指し、事業・運営基盤を抜本的に強化する。 - 協働での取り組み内容と成果物
ワイナリー事業を抜本的に強化するため、「販路拡大・強化チーム」、「広報PR・ECサイト運営チーム」、「イベント企画・運営チーム」、「店舗活性化チーム」の4チーム制で取り組みました。
また、希望者は兼任で「テロワージュ東北チーム」でも活動いただきました。
コンサルティング的な基礎分析は全チーム共通で実施し、その後はチームに分かれて活動しました。
=販路拡大・強化チーム(9名)=
~チームの目的~
- 秋保ワイナリーのワインを宮城・全国に広める(販路の種類・エリア・量の拡大)ために必要なツール、しくみを創る。
- 収益性の改善に向け、製品・チャネル別収益性を把握するため財務分析と商品ごとの利益率出しを行う。
データ収集・分析
取り組み内容
- データの収集・見える化
- 財務分析
- 商品別損益分岐点分析
成果物
- データ
- 各まとめリスト・分析結果
- 製品別収益性の把握
営業ツールの作成
取り組み内容
- 他社のパンフレットのリサーチ
- 秋保ワイナリーのパンフレットの作成
- ワインリストの作成(飲食店用)
成果物
- リサーチ資料
- パンフレット
- ワインリスト
新規チャネルづくり
取り組み内容
- 外部ECサイトのリサーチ、出品先の決定
- 試飲チケットづくり
- 「卒業ワイン」企画・実施、継続化
- サポーター制度企画・案内資料の作成
成果物
- 他社ECサイトへの出品
- 試飲チケット・運用開始
- 「卒業ワイン」のラベル&引き継ぎ資料
- サポーター制度&案内リーフレット
=広報PR・ECサイト運営チーム(6名)=
~チームの目的~
- 情報発信を強化する(プレスリリース&SNS)。
- EC課題を抽出、解決することで売上を伸ばす。コロナ禍に強くなる。
- ブランディングによって発信力と組織力を強化する。
ブランディング
取り組み内容
- インタビュー(経営陣、従業員)
- 顧客アンケート
- カスタマージャーニーWS
- ブランドステートメントWS
成果物
- カスタマージャニー報告書
- アンケート報告書
ECサイト
取り組み内容
- EC課題の洗い出し
- 改善案の提案
成果物
- EC課題リスト
広報PR
取り組み内容
- プレスリリースのしくみづくり・実行
- メディアリストの作成・活用開始
- 広報PR業務の引き継ぎ
成果物
- プレスリリースフォーマット
- プレスリリース投稿
- 取材案内状
- メディアリスト
- 広報PR業務のマニュアル
SNS
取り組み内容
- note(ブログ)の開設・運用
- Instagram・Facebookの強化
- Twitterのアカウント開設・運用
- SNSとECサイトの連携
- SNS投稿の引き継ぎ
成果物
- 公式note
- 各種投稿記事
- SNS連携したECサイト
- SNS運用マニュアル
その他
取り組み内容
- メーカーズディナー用営業資料の作成
- キャンペーンチラシの作成、SNSでの発信
(イベント企画・運営チームと連携)
成果物
- 営業資料
- チラシ
- 投稿記事
=イベント企画・運営チーム(5名)=
~チームの目的~
- 新規イベント、キャンペーンの企画と実現
- オンラインに対応することで、コロナ禍でも売り上げを上げられるようになる。
キャンペーン
取り組み内容
- クリスマスキャンペーン企画・実施
- お年玉キャンペーン企画・実施
成果物
- 各キャンペーンのコンテンツ&資料
オンラインイベント
取り組み内容
- プロボノ向けオンランワイン会の企画・実施
- グロービス生向けオンラインワイン会の企画・実施
- パウチワインの試飲・調査
- オンライン料理教室の企画・実施サポート
成果物
- 各オンラインワイン会のプログラム
- オープニングムービー
- プロモーションムービー
- 志のケース教材
- マリアージュ講座用の冊子
- パウチワインの試飲結果
- オンラインアンケート
- オンライン料理教室の企画資料
その他
取り組み内容
- キャンペーン用チラシの作成
- キャンペーンの告知
(広報PR・ECチームとの連携)
成果物
- キャンペーンチラシ
- キャンペーン告知のひな型
=店舗活性化チーム(5名)=
~チームの目的~
- 店舗・庭園の有効活用と売上UP
店内装飾・
レイアウトの改善
取り組み内容
- ポップのリニューアル
- 他店のリサーチ
成果物
- ワイン用ポップ
- ショーケース用ポップ
- 他店のリサーチ資料
メニュー開発・改善
取り組み内容
- カフェメニューの考案(ランチ、デザート)
成果物
- カフェメニュー案
商品改善
取り組み内容
- ギフトセットの考案
成果物
- クリスマスセット
- 初売りセット
- バレンタインラッピング
庭園の活用
取り組み内容
- キッチンカーのトライアル運営
- キッチンカーのメニュー考案・実行
- 閑散期や夜イベントの企画
成果物
- キッチンカーの運営結果
- キッチンカー用のメニュー
- メニューのポップ
- スタッフ用ポップフォーマット
- イベント企画資料
課題の洗い出し
取り組み内容
- 店舗スタッフ向けアンケートの実施
- 課題の洗い出し・対応の優先順位出し
成果物
- アンケート結果・現状把握
- 課題のまとめ資料
- 改善の優先順位マトリックス
=テロワージュ東北チーム(11名)=
~チームの目的~
- テロワージュ東北の活動を少しでも前に進める。
- テロワージュ東北を広める活動ができるようになる。
インプット
取り組み内容
- テロワージュ東北とは 勉強会の実施
成果物
- 勉強会資料
普及のための
ツールづくり
取り組み内容
- テロワージュ東北 案内資料の作成
成果物
- テロワージュ東北 案内資料
- 案内資料の使用開始
マネタイズ
取り組み内容
- マネタイズ方法の立案
成果物
- マネタイズ案
ガイドラインづくり
取り組み内容
- 類似ガイドライン・先行事例のリサーチ
- ガイドラインの作成
成果物
- テロワージュ東北 ガイドライン
- テロワージュ東北 連携協議会 規約
- その他の成果
- 全チームが売上目標を達成し、コロナ禍ではあったが過去最高売上を記録した。
- 顧客目線でECサイトの問題点を洗い出し、修正を開始できた。
- 担当スタッフが、自らnoteでの記事の作成が出来るようになったり、SNS連携によって相乗効果が生まれやすい投稿を行えるようになった。また、プレスリリースの作成から配信もスタッフで対応できるようになった。
- カスタマージャニーのワークショップを通じて、顧客に対しどのような内容で訴求し、効果的な集客を行うかを都度考えられるようになった。
- オンラインのワイン会を自社主催で初めて開催し、アンケート結果も良好だったため、単独でワイン会を開催する自信となった。
- データの見える化により商品ごとの利益率、売上を視覚的にも分析でき、次年度の製造計画の検討の資料となった。また、製造スタッフにも新たな製造計画を理解してもらいやすくなった。
- 店舗では、ワインのポップが分かりやすく、デザインも良く統一され、雰囲気が良くなった。スタッフもポップ等により気を払うようになった。また、フェアやイベントを開催することにより売上が向上することをスタッフに理解してもらえ、今後の展開を考えやすくなった。
- 庭園では、キッチンカー営業のトライアルが出来、活用できるようになった。
- ECサイトの売上が4か月間の平均で400%増加した。このことは「当社にとって非常に大きな進歩。今後、人流の抑制が生じた場合でも売り上げを確保する重要な柱になる」と評価いただいた。
- 「テロワージュ東北」に関しては、これまで説明が難しく、周知のネックになっていたが、説明資料とガイドライン(参加ルール・方法)ができたことで普及活動がやりやすくなった。「是非参加したい」という声も複数いただいている。
- 受入先の声
- 「コロナ禍で来客者の減少、卸売りの減少が継続する中、ワイナリーの売上確保に直結する多くのツールやしくみを作成いただいた。キッチンカーの運営やイベント等、実行まで担ってもらえて助かった」
- 「コロナ禍で売上が大きく落ち込んで精神的にも不安な状態だったが、そうした不安がかなり軽減し、前進する勇気、力を得たことは個人的には最も救われた。これはPriceless」
- 「成果が数字にしっかりと表れたのは、プロボノの方の経験や知識そしてチームワークがあったからこそ。社員がもっと参加できるようになれば、さらに良い結果を出せると思う」
- プロボノの声
- 「秋保ワイナリーの経営陣、ストーリー、ワインも素晴らしく、プロボノ活動で魅力的なベンチャー企業に出会うことができた」
- 「社外での初めての活動として、自身で主体的に考えて行動するという貴重な経験ができた。定期的なWeb会議も多様な職種の方との協働も初めてだったが、刺激を受けた」
- 「事業そのもので地域に貢献することもできるのだな、と感じ、普段は感じづらい仕事の意義なども体感することができた」
- 「直にお客様やスタッフの方と会話する機会をもつことができ、様々な角度から店舗の状況を見ることができた」
- 「オンラインイベントの企画・実施を担当し、自分自身もとても楽しく、勢い余って動画を作ってしまうほど自由にさせていただいた」
- 「プロボノが初めてだったので要領がよくわからなかったが、コーディネーターがまとめてくれたり、発言しやすい環境をつくってくれたのはありがたかった。ミーティングの日時調整や、各タスクの期限設定、進捗確認やリマインダで実行を促してもらえたのも助かった」
- 「コーディネーターは、従業員でもコンサルでもないという、プロボノの立ち位置を整理し、交通整理をしながらペースメーカーにもなってくれたので、毎回安心して参加できた」
- コーディネーターより
売上というシビアな目標を達成した上で、定性面も含めて「Priceless」と評価いただけたことがこのプロジェクトの成果を端的に表していると思い、嬉しくなりました。
コロナ禍の中、売上目標を立てることが増えてきたのですが、プロボノ活動を正しい方向で行えた時に、素直に数字で成果が表れるので、皆さんに楽しんで取り組んでいただけるよう意識しました。
プロボノチームにも財務諸表を共有いただき、秋保ワイナリーさんの理念・経営陣の人柄への共感と応援をベースに、危機感を共有して「チーム秋保ワイナリー」として共闘でき、それが成果に繋がったと思います。
「テロワージュ東北」に関しては、コロナ禍で事業が厳しいのでそちらに集中しようと、中断の危機もありましたが、社長が一番やりたいこと、ワイナリー設立のきっかけということで粘って継続しました。
結果、大きな壁を越えて今後の発展につながる成果物が完成し、継続してよかったという言葉をいただきました。諦めなくてよかったと思います。